富士山登山の行方 Vol.4 » Field Only

富士山登山の行方 Vol.4

山頂アタック テイク2

 ツーン♩
 午前2時、万年雪山荘の宿泊部屋に明かりが灯ります。
 私はその前の1時ごろから目が覚めていましたが、実は、天気が気になり過ぎて、2・3回起きて外に出たり、入ったり・・・
 チームのみんなと「おはようございます」
 気になるお天気はというと・・・・


 晴れ


 マジです。
 きました。星出てます。
 マジです。

 「2時30分に出発しましょうか。」
 「朝メシどうします?行動食でいいすか?帰ってから食べます?」
 だんだんチームのテンションが上がってきます。

山頂アタック テイク2のスタート

 そして、2時30分、昨日の山頂アタックに続き、テイク2を敢行です。(リベンジはやめてテイクにしました。)
 万年雪山荘をスタートした我々は、ナイスペースで登っていきます。
 昨日、標高を上げていたので、少し体が慣れているんでしょうか。相変わらず息は上がりますが、快調です。
 麓の街は少し灯りて夜空にはたくさんの星が浮かぶ。
 なんじゃこの景色はと。
 宇宙を感じますね。
 ときどき見上げる夜空には流れる星が。
 あ、また流れた。
 幸せですね。
 
 標高が高くなってくると、自分達の真横レベルに星を見ることができるんですが、コレがとても不思議な光景ですね。
 星と同じレベルにいる我々、麓には明るい街、山頂方向を見ると流れ星・・・
 もう何も言葉が出ません。
 語彙力がないですが、もうただただスゲーわけです。

富士山と夜空の星と麓の街明かりと

 少々呼吸がしんどかったですが、なんのトラブルもなく、あ、いや、山頂手前の鳥居で集合写真を撮影してもらったあと、鳥居と星空を撮影しようとしたとき、私の不注意で携帯電話がガシャん・・・
 カメラの縁に傷がつきましたが、写真撮影には影響なく無事でしたけどね(笑)頑丈だわ
 それと、チームのメンバーから「今日は天気大丈夫なんじゃない?」って話が出てきたんですが、私は昨日のネガティブが抜け切っていなくて、「いや、まだわかんないっす・・・」って。
 ま、イロイロあるわけです(笑)

鳥居と星空と

テッペンに到着

 確実に「はあはあ」して、着実に歩みを進めていた3時30分のことですね。
 念願の「富士山頂上」に到着しました。
 「いやったーーーーーーーーー!!!」「着いたぞーーーー」
 「おつかれさんーー」「やりましたねーーー」「やたーー着いたーーー」
 もうあとは何喋ったか覚えてないです。感動し過ぎて。
 「はーーーーようやく着いた」「登ることができたーー」って
 昨日の今日なので、安堵の方が大きかったでしょうか。
 夜明けはコレからなので、天気への不安は、ずーーーっとついてまわりますが、周りを見渡せば晴れているようなので、近くにいるであろう神様に感謝を伝えて、御来光を待つことにします。
 
 頂上の気温は夏場の今でもかなり低く、我々が頂上に至った8月1日は最低気温が5.8℃、最高気温が13.1℃だったみたいです。
 なので、装備としては、ドライレイヤー、高機能スウェット、高機能ジップアップロングスリーブパーカー、ハードシェル、ネックゲーター、フリース手袋といった感じで、ザックを背負っておけば背中側は防風ができて、、、うんまあ、まだ少し寒いけど、風がほとんどないから耐えれそう。

御来光ってこっち?

 御来光が見えそうな、いや、きちんと見れる場所を調べときましょ。
 ってことで、方角を確認しながらより上を目指して岩場を登り、ええとこが見つかったので、そこに陣取ります。
 場所を変更した時間は3時40分ごろですが、頂上に着いてすぐに陣取った場所は北西側を向いていたので、場所を変えなければ御来光は見れなかったので、「ナイス判断でしたね」「ね、リーダー」
 そこから寒さに耐える時間が始まりますが、空のグラデーション変化も始まっています。
 何回も言いますが、携帯カメラでは表現できない光景が目の前に広がっています。
 どうしてもそのままが撮影できないんです。
 このフィールドにいなければならないんですよね。
 今日、この時間、この場所にね。
 
 さあ、いよいよ明るくなってきましたよ・・・・
 「御来光、ここくるんじゃね?」「赤くて明るくなってますから、ここで大丈夫でしょう」
 ここだと信じてさらに待ちます。
 「あれ?」
 「少し左側とちゃいますか?明るいとこ」
 「ん?そんな感じするね」
 私たちが陣取っていた場所の周囲には、人が集まってきていて、御来光がここから見れるってのは疑いようもなかったんですが、光がね、ちょっとズレてるんですよね。
 ここまでの待ち時間は約1時間・・・
 御来光の4時53分まで、あと9分、「どうする?」「動く?」
 「今なら間に合うかも、あっちに移動しますか」
 「おし、動こう」
 チェリー登山部のやる気スイッチが一斉にバチんと入ります。
 岩場を足早に下りて浅間大社奥宮の裏側に回ります・・・!?
 「ない、あっちに行く道がない!」
 「え?」
 「こっち行ってみよう」
 どこからパワーが出てるのか、全員が荷物しょったまま全力疾走=
 「うおおおおおおおおおおおおお」
 「出たーーーーーーーーーーーーー」
 「ぬああああああああああああああああ」
 「いえーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 「やーーーーーーーーー」
 作戦変更に次ぐ作戦変更で、結局のところベスポジに着くという・・・マジっすか
 
 御来光

 神様ありがとうございます。
 ついに見ることができました。
 50歳を迎える2人に見ていただくことができました。
 チェリー登山部全員で見ることができました。
 ありがとうございます。

 もう興奮し過ぎてわけわかんないですよ。
 異次元の景色に脳みそ持ってかれてますよ(笑)

テッペン

 御来光を拝ませていただいた我々は、続いて「剣ヶ峰」を目指します。
 そう、その場所こそ、日本で一番高い場所
 3776mのテッペンなのです。
 剣ヶ峰に行くにはとんでもない坂道の「馬の背」を登る必要があるんですが、なんと勾配が約41%、傾斜角度が約22°という、壁みたいな道が立ちはだかります。
 ただ、私たちには御来光パワーが充填されていますので、ジャンジャン登っちゃうんです。
 
 そして遂に、遂に
 私たちは3776mに至ります。
 日本で一番高いところです。
 みなさん、ありがとうございます。
 神様、ありがとうございます。
 こんなに天気にしてくださって、ほんとうにありがとうございます。

 奇跡です。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございます。
次回「富士山登山の行方Vol.5」をお待ちください。

このブログの主人の正体 整備士→消防士→登山ガイド・・・変態中

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松本 和志 登山ガイド / 男性

 登山ガイド(JMGA登山ガイドステージII)  国際マウンテンリーダー(IML)ハイキング・トレッキングガイド  元消防士・勤続21年(各種災害出動経験2500件以上) 挑戦があるから生きている!  これからは、登山に挑戦する人との共感、共有を通じ、一緒に笑顔になれる人生を送りたいです。  このブログでは、私の挑戦、失敗や成功、喜怒哀楽を書き綴っています。私の挑戦が誰かの何かになれば幸いです。

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