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お別れは突然に

 先日、私の実祖母が亡くなりました。
 私は、亡くなるその時、そばにいてあげることはできませんでした。
 県外の施設で一人暮らしをしていた ばあちゃん。いつも優し過ぎる声で名前を読んでくれた ばあちゃん。大好きな ばあちゃん。

 じいちゃんは約20年前に亡くなったんですが、じいちゃんが大好きだった ばあちゃんは、じいちゃんのところに旅立っていきました。じいちゃんも ばあちゃんが大好きだったから、じいちゃんは笑顔で ばあちゃんを迎えてくれるよね。

 じいちゃんと ばあちゃんは、私のことをほんとに目に入れてたんじゃないかってくらい、かわいがってくれました。
 それから、離れて暮らしていても、いつも私のことを周囲の人に話してくれていたようです。
 それとそれと、私が今の職業に合格したとき、両親よりも先に、じいちゃんとばあちゃんへ報告したんですね、そのときの喜びようったらもうね、一緒に泣いて泣いて泣いて泣いてね。
 心から応援してくれていたことをいつも感じていたので、今でも、喜んでもらえてめちゃめちゃ嬉しかったことを、鮮明に思い出すことができます。

 でも、じいちゃんは、自分の晴れ姿を見ることなく、合格した年の2月に亡くなりました。
 亡くなる前はお見舞いに行ってたんですが、じいちゃんの訃報も突然でしたね。
 じいちゃんが亡くなったとき、私は、遠く離れていたことと、つぎの仕事の準備が忙しいからと、行かなかったんですよね。通夜もお葬式もね。
 今になれば、なんであんなに大好きなじいちゃんのところに行かなかったのか、悲しんでいる ばあちゃんの隣にいて支えなかったのか、過去に戻れるなら、そのときの自分をもうめちゃめちゃにぶん殴って引っ張ってでも連れて行ってやりたいです。

 それからですね。
 20年が経ち、ばあちゃんが亡くなりました。
 この間に、じいちゃんの墓参りにも行けたはずだし、ばあちゃんの様子も見に行けたんですよ。
 でも行かなかった。行けなかったじゃなくて、行かなかった。
 なんでなんだろうと。

 命は永遠じゃない、そんなの当たり前に知ってるし、私もいつかあちらの世界に行くわけです。
 それをわかっていながらね。行動に移さなかった。

 なんでなんだろ。

 あれがあるからこれがあるから、あれがしたいこれがしたい、あれしないといけないこれしないといけない、こうするべきああするべき、なんてね、イロイロ並べてたんでしょうよ。

 こんなことに執着していたんでしょうね。
 いま考えると、しょうもないなってね、なんでかなって。



 ばあちゃんが亡くなったって聞いて、絶対に会いに行こうって、考えてね。
 ばあちゃんの実の娘の、私の母親も連れて行かないとって、急なことだけど、これは絶対に会わせないと行けないってね。
 職場に相談して、急遽、大分県まで自家用車で行きました。
 ばあちゃんに会いに、そして、じいちゃんの墓参りにね。

 葬儀会場まで、認知症になって1人で歩けなくなった母親連れて、ピッタリ12時間(抗原検査含めて)
 なんとか通夜に間に合って、ばあちゃんと対面できました。

 ごめんな、ばあちゃん
 今になっちゃった
 「和志や」って、名前、呼んでほしかったな
 今まで可愛がってくれて、心配してくれて、ありがとね
 もう心配ないからね
 安心して旅立ってな

 次の日、ばあちゃんは、大好きな じいちゃんのとこに旅立ちました。
 

 ばあちゃんが旅立った日、私は じいちゃんの墓参りに、初めて行きました。

 じいちゃん、20年経ってしまったわ
 ほんとに遅くなってごめんね
 亡くなったとき、行かなくてごめんね
 20年、墓参りにも来ずごめんね
 これから、ばあちゃんもそっちに行くから
 2人揃って、仲良く、永遠に
 今までほんとにありがとう
 また来るよ

 
 私の大好きな じいちゃんと、大好きな ばあちゃんは、また2人になれました。
 これからどんな世界で過ごしていくのか、生きている私にはまだまだ未知の世界ですが、大好きな2人の幸せを永遠に願っています。

 安らかにお過ごしください。

 じいちゃん、ばあちゃん

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