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子どもの判断を奪っていませんか?

FIFAワールドカップカタール2022

 2022年12月6日の日本時間午前0時にキックオフした【日本VSクロアチア戦】で激戦を繰り広げてくれたサッカー日本代表の皆様、素晴らしい戦いを魅せてくださり、ありがとうございました!!
 そして、その日本代表を最後まで支え続けてくださった関係スタッフの皆様にも感動と感謝です!!
 それから、現地で日本代表を応援されたサポーターの皆様、我々の声を届けてくださり、ありがとうございます!!
 
 惜しくもベスト8に進むことができませんでしたが、強豪のドイツやスペインを破った事実は、次の日本代表サッカーチーム、いや、日本でサッカーに関わっている全ての人にとって、大きな大きな1歩になったと感じています。
 
 また、今回は元日本代表の本田圭佑さんのABEMAでの解説が話題になったりと、ワールドカップサッカーというか、サッカー自体の面白さが多様になっていくのかな、なんて感じたりしていました。
 特に戦術面なんかはほんとに面白くて、日本や対戦国は関係なく、監督の采配で勝敗が決まるところなんかは、見ていてシビレちゃいますし、本田さんの解説と合わせて見ていると、何かこうフィールドが可視化されるようなそんなイメージさえ持っちゃいます。

 今後、こういうわかりやすいというか、本田さんが解説されてるからってのもあるんでしょうが、解説でサッカーの戦術が広まっていくと、選手のみがフォーカスされることなく、サッカーという競技自体の理解が進むんじゃないかなあ。いや、進んでほしいって思いますね。是非とも。
 なぜかって。
 選手のみにフォーカスしてしまうと、どうしてもシュートだとかパスだとか、そこだけの評価になっちゃいますよね。テレビで見えていないフィールドでめちゃめちゃハードワークしている選手や、それこそメディアにも取り上げられない下支えをしている人達がいるのにね。

 「なんでそこでパスなの?」
 「なんでシュートしないの?」
 「なんでもっと大きくクリアしないの?」

 なんてことになるわけですよ。

 悲しいことに、今回、コスタリカ戦で敗戦したあと、日本代表選手に対する心無い言葉がネットに溢れかえってしまったようですね。
 ほんとに悲しいことです。

 私の子どもは小学校から長くサッカーをしていますし、私も子どもに混じってサッカーをさせてもらっているので、こういうことはスゴく身近な問題として捉えてしまいますね。
 子どもも私もプロではないんですが、なぜ身近な問題として捉えているのかというのは、私の思慮が足りなかったというか、実は自らの経験や学習からくるもんなんです。

サッカーは子どもがやっています

 私の子どもがサッカーを始めてしばらくしたときですかね。いやはじめからかもしれませんが。
 サッカーの試合を応援していて、子どもがボールを運んでるときにこう言うわけです。

 「シュートシュート」
 ってね。
 で、シュートしなかったり、シュートが外れると、「あー」とか「んー」とかね。
 で、車で帰るときに「なんでシュートせんかったの?」・・・って。
 言ったりしちゃうわけなんです。

 今これ書いてても、なんてことをしてしまったんだろうと。あ〜これはほんとに消せるもんなら消したい過去です。
 やっちゃってますよね。これね。
 同じですよ。ネットで誹謗中傷してる人たちと。
 というより、本人に言っちゃってるので、目に入らなきゃ伝わらないネットよりも衝撃力や破壊力がありますよね。

 ほんと書いてて恥ずかしくなるし、大失態です。
 思慮が足りないまくりの私ですね。
 
 まあ、このときはそれがどういう影響を及ぼすのかなんて考えもしてないもんだから、自分の歩んできた人生を手本にしちゃってて、好き勝手言ってるわけです。

 そんなときに、子どもが所属しているクラブの監督さんからお話が・・・
 「お父さん、サッカーは子どもがやっていますので、プレイの指示になるような具体的な言葉をかけるのは控えてください。子どもたちは自分で考えながらやっていますので。」

 ハッとしました。

 その通りです。
 私はいつの間にか、子どもと自分を重ねてしまい、なんなら置き換えてしまっていたんですね。
 400mハードルで著名な為末大さんだったですかね「大人を小さくしたのが子どもではない」・・・
 ほんとうに耳が痛い・・・イテテテテ

サッカーを通して

 私自身、サッカー部に所属したことはなく、思い返せば前の職場で人数合わせでサッカーの試合に出たことあったなあなんて体験レベルですかね。
 あとは学生のとき休憩時間にボール蹴って遊んだことがある程度。

 そんな私ですが、子どもが所属するクラブの監督さんから「お父さんも一緒にやってみませんか」と、サッカー練習に参加させていただくことになりまして。

 子どもたちと同じ練習メニューをして。
 ゲームをして。
 走って、蹴って、喜んで。
 
 子ども達はね。
 フィールドでめっちゃ考えてがんばってましたよ。
 それぞれがそれぞれの視点でサッカーを楽しんでました。
 そしてすんごい走ってます。
 一緒にやって、初めてわかること、ありますね。
 子ども達には子ども達の世界が見えています。子ども達のサイズでね。
 サッカー、めっちゃ難しいですよ。
 そんな難しいことや走ってしんどいことを楽しんでやってるんです。
 子ども達、すごいんですよ。

 フィールドのなかでしかわからないこと、ありますね。

 外から見てて「あーしろ」「こーしろ」「すべきだ」「しないべきだ」は、ね。
 言われたらどんな気持ちになって、次の行動をどうしてしまうのかは・・・想像してみましょう。

子どもの判断を奪っていませんか?

 何年前かは忘れましたが、子ども達に混じってサッカーを始めてからというもの、サッカーの指導方法が気になって気になって・・・
 職場での指導だとかコミュニケーションだとかにも通じるところがあるんじゃないかって、まあ少し悩んでたとこもあったので、アンテナ高めな時期だったからですかね。はい、知らねーよ笑ですよ。

 そんなときに、まさしく出逢いがあるわけです。

 サッカーなでしこジャパンの大部由美コーチをご存じの方が多いかと思いますが、鳥取県出身のサッカー指導者で、なでしこジャパンのコーチをしておられます。

 その大部由美さんが地元で講演会をされるということで、思い切って参加することに。
 会場に行ってみると小さな会議室です。
 距離ちかっ!!な会議室をイメージしてください。
 世界で戦った経験のある方がこの距離で講演会なんて・・・貴重だし嬉しすぎるんですけど。

 著名人にそんな距離感で聞いたのがこのフレーズです。

 「子どもの判断を奪っていませんか?」

 ドキッとしてしまいますね。
 パイプ椅子ひっくり返して倒れるかと思いました・・・

「シュートやパスをあーしろこーしろと言ってないですか?」
「忘れ物があってはいけないと、声をかけるだけでなく、親が準備していませんか?」
「その判断は誰の判断ですか?」
「サッカーをしているのは子ども達です。みなさんではありません。」
「親が指示を出すことによって子どもの判断が親の判断になってしまい、それが定着するとフィールドで親の顔色を伺ったり、親の指示がないと動けなくなります。」
「自分がこうしようとしても、叱られるのが嫌だから親の言うことを聞こうとして迷いが生じます。」

 ぬぬぬぬああああ〜
 えぐられますね〜
 グリングリンに私の痛いところえぐってこられます。

 つまり、私が奪っていたわけです。
 子どもの判断を。
 判断を奪うだけじゃなく、もしかしたら未来を奪っていたと言っても過言ではないでしょう。

 子ども達に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
 それから、もうそりゃーガックリきましたね、自分に。
 なにやってたんだかね。
 応援だとかサポートだとかってね、調子良いこと言っときながら、方法を間違えてしまうとエライことになってしまいます。

 私はこの講演を聞きながら、子ども達のことに限らず、職場のことにも通じるところがあるなあって。
 もしかしたら私が後輩の判断を奪っていたのかもしれず。とね。

 講演はその他にも「ヤバイを使っていませんか」だとか、ほんとこれまで目を向けることがなかった内容で、とても心に刺さりまくりましたね。
 ほんとヤバイ講演内容でしたね・・・ってね、使っちゃってる笑

 学びと気づきの講演は時を忘れるくらいの刺激であっという間に終わり、そのあと、有り難いことに大部由美さんに質問する機会があったので、少しだけですが、直接、講演内容を振り返りながらモチベーションの上げ方の話をうかがうことができました。

 大部由美さん、貴重な講演をありがとうございました。

子ども達へ

 そんなこんなで、当時、お父さんは無知で、君たちをお父さんの短い物差しで測ってしまっていました。
 サッカーを一生懸命がんばって、サッカーをチカラいっぱい楽しんでいた君たちに、辛い言葉や不快な言葉を浴びせてしまったんじゃないかと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 ほんとに、ごめんね。
 イロイロあったかもしれないけど、君たちの応援をさせてくれてありがとう。
 そして、たくさんの感動と勇気を魅せてくれてありがとう。
 忍耐力、継続力、協調力が高い君たちを尊敬しています。
 なにより君たちはお父さんの誇りです。
 これから君たちがどんな判断をしたとしても、その判断を見守るよ。
 もちろん、お父さんにしかできない応援はあるから、そんなときは遠慮なく言ってくれ。
 全力で応援するからな。

 お父さんより

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